白衣の悪魔に恋してる
ピピピッ…



静まり返る部屋の中、



脇に挟んでいた体温計から電子音が鳴り響いた。



「貸せ。」



「はい。」



「8度2分。高い…な。」



そう呟きながらあたしの額に触れてくる手のひら。



ひんやりして…



気持ちいい。



「帰るか?」



「イヤ。」



あたしは首を横に振った。



「送るぞ?」



送って貰えるのは嬉しいけど…



「ヤダ。」



小さくため息をつく先生から逃げるように、あたしは布団の中に潜り込んだ。



もう少しだけ…



先生の傍にいたい。



優しい先生の傍にいたい…



熱下がっちゃったら…



風邪治っちゃったら…



ここでこうして先生と居られないから…



あたしは先生の特別なんかじゃないんだけど…



今だけ、



このベッドで寝てる“今だけは”特別だと感じたいから…

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