*Tiara*〜天使の君〜

「布くらいはとって差し上げましょう。国王へお届けする大切な姫に窒息死されてはかないません。」



そういうと男は自分を支えたまま、馬の手綱から片手を話して口に当てられている布を取った


「っはぁ…はぁ……」



途端に冷たい空気がのどを通って肺に入ってくる



しばらく呼吸を続けると大分落ち着いてきた



「私をどこへ連れて行く気なのです!?あなたは何者?」


ティアラは男から少しでも逃れようと体を遠ざけながら言った



「ふっ。そんなに離れると落ちますよ。」

「質問に答えて下さい…」

ティアラの強気な声音に男はまたふっと笑った



「ずいぶんと強気ですね。ではお教えしましょう。私はルウイ国将軍、セツ、国王よりあなたをさらってこいと命じられたため任務を遂行した。」
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