*Tiara*〜天使の君〜



「ルウイ国?」


なんで私がさらわれなくてはいけないの?

なぜルウイ国なんかに……

とにかくここで弱気を見せてはいけない。



「なぜ私がさらわれなくてはならないのです。」

「それはもちろん、天使の君と称されるあなたの予知能力を国王が欲したからです。アルバンに奇襲をかけたとき、シリウス王にそれを予知し知らせたのはあなたでしょう。そのおかげで我が軍は大きな犠牲を負った。」


男はティアラを鋭い目で見つめた

「あなたのようなか弱い姫君に我が軍はまけたのです。国王陛下はその力がルウイ国に欲しいそうです。」




「私の力を……?」

「まぁその力を狙っているのは我が国だけではないでしょうがね。どの国だとてそのような素晴らしい力が欲しいはずです。」





ルウイ国将軍のセツは、ティアラが自分から少しでも離れようとしていることに気づいたのかより強い力でティアラを抱き抱えた



「は、離してっ…」



「それ以上離れると落馬すると言っているでしょう。うるさい姫君にはもう少し眠ってもらいましょう。次に目覚めたときにはルウイ国につきますよ。」



セツはティアラの口を布で押さえた




「いやっ……」


抵抗もかなわず、布に染み込ませてあった睡眠薬のためティアラはまた眠りに落ちていった
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