ふたり



なんだ コレ



オレは ただ結の差し出した


妻の欄が埋まった離婚届けを


じっと見ていた




なんなんだよコレ





「はい、柊ちゃん」



結がニッコリ笑ってオレにボールペンを差し出した




いつまでも受け取らないオレに



「…柊ちゃん?ボールペン…」




「なんだコレ」



自分でも 信じられないくらい
低い声だった




「なんなんだよコレ」



結をにらみつけると


結は平然と



「離婚届けだよ」



離婚届けだよ?



「あのさ、結。なんの冗談?

悪ふざけもいい加減にしろよ」



「冗談でも悪ふざけでもないよ
柊ちゃん離婚しよう」



――離婚しよう――



結の口から その言葉が出た瞬間



氷水をたくさん頭から一気にかけられたみたいに



サ―――――――――っと



何かが ひいていく感じがした




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