precious one


「失礼しまーす」


保健室のドアを開けると、

心地よい風が吹き込んできた。

太陽の光に目を細めていると、

椅子に座る稔太がいた。


「あれ? 愛花?」


稔太は少し、驚いたようにあたしの名前を呼んだ。


「片瀬から、突き指したって聞いた。先生は?」

「急な呼び出しで出て行った。
だから手当てもまだ」


そう言って、突き指した中指を見せる。

少し赤く腫れ上がってて、痛そうだった。


「手当て、あたしがしようか?
上手くできるか分かんないけど…」

「ん、お願い」


あたしは、稔太の前に椅子を置いて座った。

突き指の手当てなんてしたことないけど、

とりあえず包帯で固定したらいいんだよね?




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