precious one


あたしにとって彼は、

目を伏せたくなるほど、輝いてた。

自分をしっかり持って、我が道を歩く彼に、

あたしはすぐに惹かれた。

気付いたら、世界が彼色に染まってた。



渋谷稔太(しぶたにじんた)。

お調子者で、短絡思考で。

どうしようもないやつだけど、

あたしだけに見せる顔は、男って感じがして。


稔太を好きなのを、やめられない。



稔太と出会ったのは、高1の春。

たまたま同じクラスになって、席も近くて。

あたしと稔太は、いわゆる“仲良しグループ”になった。




< 2 / 61 >

この作品をシェア

pagetop