いつも隣には君がいた
隣には嫉妬心
朝からずっとモヤモヤが消えない。気持ち悪くなってきた。

次の授業は…体育。正直、今の俺には無理に体を動かすことは苦痛でしかない。

次の授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。

校庭では男子と女子が校庭を半面ずつ使って、お互いにサッカーをやっていた。

屋上まで声が聞こえてくる。

「なにしてんの?春司。」

振り向いた先には挨拶くらいしかしたことがない渡部響緒(ワタベキョウオ)がいた。

響緒は遅刻の常習犯で授業とかまともに受けているとこを見たことがない。血の気が多くて、喧嘩っぱやい。でも、落第は避けたいらしく、テストでは良い成績を出しているとの噂。いつも、オシャレで一部の女子からは密かに人気らしい。

「響緒…。」

「珍しいじゃん。お前が授業サボるなんて。」

響緒は笑いながら言ってきた。

「そうか。」

俺の心情を感じたのか響緒はなにも言わず、俺の隣に座った。

「気持ちいいだろ。ここ。」
そう言って、響緒は寝そべった。

「そうだな。空をこんなに良く見たのは初めてかも知れない。」
響緒と同じ様に俺も寝そべった。

「春司。別に答えなくてもいいけど…。なんか、あったのか?」

「なぁ。響緒は親友と好きな人どっちをとる?」
少し黙って、響緒が口を開いた。

「俺は分かんないけど、好きな奴かも。親友って言うくらいだから、好きな奴を優先したくらいじゃ、関係は壊れないだろ。」

「でも、その親友と好きな人が両想いだったら?」
また、少し黙って響緒が口を開いた。

「んじゃ、俺はどっちも取るし、どっちも取らねぇ。」

「えっ…?」

「親友と好きな奴。その2人と今まで通り付き合うってことだ。」

「そっか……。」

「まぁ、なんかあったらなんでも言ってこい。いつでも、受け止めてやるから。」
最後に響緒が笑った。
ちょこんと見えた八重歯がなんだか、可愛らしかった。

響緒が屋上を後にして、何分か経ったらチャイムが鳴った。
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