いつも隣には君がいた
「なぁ。俺、山野飛鳥。んで。こっちが俺の最高の相棒。吾妻春司(アガツマシュンジ)。」

休み時間に飛鳥が俺を連れて、転校生に話しかけに行った。

「よろしく。」

「この春司って奴は勉強は並なんだけど、美術の絵画に関してはずば抜けてんだよ。あっ!そうだ。俺らと一緒につるまない?いいよなぁ。春司?」

「俺は別にいいけど。」

「じゃあ、決まり!よろしく。弥生。」
飛鳥は転校生に握手を求めた。

「よろしく。えぇーと…」

「飛鳥だよ。あ・す・か。」

「飛鳥。と…」

「春司。」

「春司…君。」

「いいよ。春司で…。」

「春司。女の子には優しくしなさい。」

「優しいだろ。充分。」

「あっ!さっき隣のクラスの女子が放課後教室で待ってて下さい。って言ってたぞ。」

「そっ。」

「待たないのか。まぁ、春司は俺と帰りたいもんな。」

「興味ないし。飛鳥行けば?」

「ってスルーかよ。俺はもう無駄に恋はしないんだよ。」
このやりとりを聞いていた弥生が吹き出した。

「本当に仲がいいんだね。」

「こいつが俺に惚れてるだけだよ。なぁ、飛鳥?」

「はい。惚れてます。」

それからは俺たち3人で過ごした。毎日が楽しくて、幸せだった。そして、いつの間にか弥生を目で追っている俺がいた。メールの内容も学校や電話での会話も、女を"好き"になったことが無い俺には全てが新鮮だった。
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