誓い
いつまで隠し通せるだろうか。

翔吾は考えていた。

なんとなく
気づいてはいるだろうが、
はっきり告げたことは無い。
千依を探す事も、
彼の負担になるようであれば、
やめさせなければならない。

けれど翔吾には
それが出来ないでいた。

(あいつに一生、辛い思いを
させたままでいいのか…。)

そういう思いが頭をよぎる。

「ダメだダメだ、
マイナスになっちゃ。」

一人で呟き、翔吾は頭を振った。

出来るだけ、圭吾の前では
マイナスな事を
口にしないようにしている。

それが兄である
翔吾に出来る唯一の事だ。

「帰ろ。」

また呟き、病院をあとにした。
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