隣の彼はイケメン兄弟?!
そして私は、テーブルの前に座ると、目玉焼きにケチャップをかけようとした。


その時、私は、ふと昔の事を思い出した。

私が落ち込んでいる時に、よくお母さんが目玉焼きに顔の絵を描いてくれたな。

私は自分でそれをやってみようと思った。

自分に元気が出るように。


ちょっと太い眉毛にまん丸お目目、黄身で出来たお鼻。

そして最後に大きな笑っている口を描いて出来上がり。


「ふふふ♪」


私はちょっと笑ってしまった。

可愛い。


ちょっと口が右上がりになっちゃったけれど、我ながら上手く描けたと思う。


そういえば、何だか、この笑顔リョウに似ている?

いつも、私に笑顔だったリョウ。

時には、意地悪なところもあったけれど、リョウはいつでも私に笑ってくれていた。


リョウが嘘付いていたなんて思いたくない。

あの笑顔もただの営業スマイルだったの・・・?



「リョウ・・・。」



私は、笑いを止めスプーンを手に取った。

そして、目玉焼きの上のケチャップと黄身を豪快にぐちゃぐちゃっと潰した。


せっかく描いた絵はことも無残に形をなくした。

私の口からは、溜息がこぼれるだけだった。




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