隣の彼はイケメン兄弟?!
「いや、あの・・・そうではなくて。」


私の言葉からはちゃんとした言葉が出てこない。


「とにかく、山下さん怒っていたみたいだし、行った方がいいよ・・・。」


そう言って、田中さんは私に背を向け、来た道をそのまま帰って行ったのだった。


どうしよう。

とにかく、隆志と話した方がいいよね?

私の頭は今パニック状態だった。

私は急いで隆志の部屋をノックする。



「隆志!隆志!!」


すると、隆志は一応出てきてくれた。



「こんな時間にうるさい。何か言い訳でもするつもり?」

「えっと、えっと・・・。」

「田中と良い感じだったじゃないか。」

「そうじゃないの・・・。」

「何がそうじゃないんだ?あんな長いキスまでしてて。」



どうしよう・・・言い訳が見付からない。



「俺、今から風呂だから。じゃあ。」



えっ・・・?

ガチャ・・・

隆志は無表情のままドアを閉め、私の前から消えたのだった。

私はしばらく、隆志のドアを見つめたままだった。





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