引き金引いてサヨウナラ


『いいよ。いとこって男? 女?

年はいくつくらいなの?

土曜日楽しみにしてるね』

と打ち、文面におかしいところがないかもう一度見直してから、送信ボタンを押す。


晴香宛に気を使う必要はないが、初対面のひとに会う約束をするというのは、さすがに少し緊張した。


美菜の返事を、晴香はケータイを握り締めて待っていたのだろう。


すぐさま返信が来て、

『男で同い年。
また近くなったら連絡するね』

と幾分素っ気ないメールが届いた。


自分も要件のみだったから、人のことは言えないけれども。


ふとケータイに表示された曜日を見て、美菜は思わず言葉を口に出していた。


「今日木曜日じゃん……」


近くなったらって、明日には連絡くれるんでしょうね――


晴香のあわてんぼうぶりに、美菜は小さく笑った。


< 19 / 221 >

この作品をシェア

pagetop