引き金引いてサヨウナラ
美菜の言うように、夕方になってからの町は暗くなるのが早かった。
叶は美菜を家まで送ると言ったが、美菜は丁重に断った。
何度か来たことがあるといっても叶はまだ道に慣れていないし、暗がりになったら迷いそうだと美菜が判断したのだった。
それでも渋っている叶に、美菜は言った。
「この辺りは女の子が一人で歩いていても物騒なことなんてないし。
いざとなったら大声上げれば、ケータイより確実に早く近所の人が駆けつけてくれるから」
その言葉にやっと、叶は了承の意を示した。
「じゃ、また明日」
そう告げて、お互いに帰途へとついたのだった。