引き金引いてサヨウナラ
訊いた達也より早く、美菜がぴくんと反応した。
「ヤマト重工って……晴香のお父さんが勤めてるところじゃない!」
美菜が驚きの声を上げると、弘は神妙な顔で頷く。
「あぁ、でも工場はまだ動いてなかったから、オヤジさんも無事だったって」
美菜は、ふぅ、と息を吐き出した。
達也は顎を撫でながら、考え込むように呟く。
「そうか、ヤマト重工の近くに……
そういえば数日前にニュースで、あの国が『弾道ミサイルの実験をする』と言っていたな。
それが落ちたのか……」
「実験?じゃあ、大丈夫よね?」
もう次は落ちて来ないわよね、と柚江が達也に訊いたが、返事はすぐには返ってこなかった。
しばらく重い沈黙が続き、そしてやっと、達也は口を開いた。
「大丈夫だとも」
その声は少し揺らいでいた。その場にいる誰もが気付いていながらも、誰も何も言わなかった。