引き金引いてサヨウナラ


弘について行った美菜は、すぐに晴香と叶を見つけた。


「あ、美菜ー!」


晴香が先に手を振り、美菜を呼び寄せる。


近くまで行くと、晴香が駆け寄って、美菜に飛び付くようにして抱きついた。


晴香のそばには、叶、晴香の両親と弟、それから弘の両親が立っている。


晴香が離れたのを見計らって、手早くご両親たちへ挨拶を済ませると、晴香の母親が美菜の両親の安否を訊いてきた。


美菜が一人で弘についてきたので、不思議に思ったらしい。


美菜が家族の無事を伝えると、晴香の母親の強張っていた顔が少しだけ緩んだ。


「そうよね、ヤマト重工のそばに落ちたんですもの。
美菜ちゃんのご両親に何かあるわけないわよね」

「あ……おじさんの……」


美菜が晴哉を見ると、彼はゆっくりと頷いた。


「工場の周りには民家はないし、被害は工場だけだったみたいだ。
早朝で、勤務していたものがいなかったのが不幸中の幸いだったな」


普段なら24時間交代勤務なのだが、勤務時間短縮のため、数ヶ月前から日中の作業だけになっていた、と晴哉は言った。


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