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忘れることはできないんだと思う。
きっと一生。
練習用のシャツに半パン。
ふくらはぎに付けた重り。
会うための口実なんかじゃなくて・・・・・・
本気で
走ってたんだぁ。
汗だくで、ハァハァ言いながら照れ臭そうに鼻を触る。
小学生の頃とおんなじ癖。
ふふふって笑い合ってブランコに座る。
「これ、めっちゃ重いねんで。ほら・・・・・・」
ブランコから左足を伸ばして私の方へ。
緊張で手が濡れていた。
涼くんの足に巻かれたダンベルのようなものに触れた。
それを、ちょっとだけ持ち上げる。
「う・・・・・・重い!こんなん付けて走れるんや、すごいな」
私の手はまだ涼くんの足を触ったままだった。
涼くんが私と同じようにその重りを触る。
・・・・・・あ。
触れた。
手が・・・・・・
触れた。
あ・・・・・・
って2人とも手を離した。
なんて純粋でかわいい2人だったんだろう。
涼くんの足、毛が生えてた。
こんなに近くで見たことがなかった。
暗さに慣れて、私の目はなんでも見えるようになっている。
見えたんだぁ。
スネ毛。
当たり前だけど・・・・・・
涼くんも生えるんだ、なんて感動した。