四季〜二人で歩む季節〜


と、やっぱりあたしが捜していた人がその集団の中で缶ビールを飲んでいた。


「レン…。」


ポツリと呟くように名前を呼んでみても、レンには聞こえるはずもない。


あたしは見なかったふりをして、トイレへと急ぐ。


「ミユさん、おそいですよ〜。
トイレ混んでたんですか?」

「うん、めっちゃ混んでた。
てか和香ちゃん、出来上がるの早いから。」

「あたしまだ酔ってませんよ〜。」


なんて言ってるけど、あたしにはただの酔っ払いにしか見えない。


負けじとあたしもビールを飲むけど、さっき見た光景が頭から離れず全然酔えない。
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