アタシと王子様
「先生…いらっしゃいませ…」
水を乗せたトレーが震え小さな波を打った。
「こんにちわ」
彼女があたしに柔らかな笑顔を向け先生も同じように笑った。
頭がクラクラする…
笑顔を見せているつもりでも、きっと笑えていない。
「…こんにちわ」
先輩がいてくれて少しだけ失恋の傷は忘れられていたのに、やっぱり駄目。
先生の顔を見ると辛くて胸が痛くて泣きそう。
「この前、食べたここのケーキが美味しいって話したら一緒に行きたいって聞かなくて…」
「1人で食べるなんてズルいわよね?」
「そ…そうですね」
メニューを眺め嬉しそうな先生を見つめ下唇を噛んだ。