Melody Honey
「お前、怒ってんのか?」

そう聞いてきた詩音に、
「怒ってない!」

私は叫ぶように答えた後、逃げるように自分の部屋に行った。

バタンとドアを閉じると、その場に座り込んだ。

ちょい役だって簡単に言ってたけど、実は美味しい役なんじゃない。

若手のかわいい女優とイチャラブできる役なんじゃない。

わざとらしく話を濁していたのは、私が怒ると思っていたからなの?

出演することを反対すると思っていたからなの?

「――バカじゃないの…」

毒づくように呟いても、何にもならない。

何にもならないことがもどかしくて、八つ当たりするように唇を噛んだ。
< 181 / 288 >

この作品をシェア

pagetop