Melody Honey
おいおい、飯は逃げないぞ。

そう思いながら、
「ちょっとー、そんなに急いで食べないの」

私は言った。

「あ、すみません」

謝った大沢くんの頬にはご飯粒がついていた。

「ちょっと、ごめんね」

私は大沢くんの頬に向かって手を伸ばすと、ご飯粒を取った。

あ、唇は薄いんだな。

大沢くんの唇を見ながら、私はそんなことを思った。

桐生の官能的な厚い唇が私の頭の中に浮かんだ。

いつも私に触れてくる、あの唇である。
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