KEEP OUT!!
「あの、ね?」
「おう」
空になったパフェグラスの底をスプーンでつつきながら、わたしはどこから話そうか迷う。
まゆねぇのときみたいに全部話すのはなんだか、恥ずかしい。
「ん~」
「トイレは右手奥」
「知ってる。っていうか違う!」
まいったなぁ。
まゆねぇは同姓だから真剣に聞いてくれたけど、草にぃがどういう反応するかがわからない。
わたしがうんうんと悩んでいる間にちゃっかり自分だけ珈琲淹れたりしてるし。
あ、そうだ。
「ねぇねぇ、草にぃ」
「あん?」
早くも焦れて飽きてしまったのか、カップを口に運びながら備え付けのテレビを見上げて生返事をする草にぃに、
「まゆねぇが他の人とキスしてたらどうする?」
「っ!? っぶはっ! あっつ! ゴホッ、ゴホッあっつ!! な、なんだ、やぶからぼうに? まさか!?」
勢いよく出来立ての珈琲を飲み込んだせいか、その熱さと咳とで交互に苦しむ草にぃ。
人の大事な悩みに生返事するのが悪い。
とはいえ誤解させないよう、
「あぁ違う違う。もしもの話。もしもの」
と、しっかり付け加える。
「び、びっくりさせんなよ……俺でも……」
「はい?」
「なんでもない! で? なんでまたそんな話が出るんだ?」
「そこは乙女のヒミツ」
「はんっ!」
むっ。
鼻で笑うことはないでしょうに。
「最近の学生はす~ぐキスだなんだと騒ぎ立てるが、そんなに大事かね?」
「草にぃ、その発言じじくさいよ」
「褒めてくれてありがとう」
「んもぅ! で? 草にぃだったらどう思う? 裏切りだ~とか、身を引こうだとか、問いつめるとか、色々あるじゃない」
答えを求めるわけじゃないけれど、何か参考になるようなことを草にぃならいってくれる。
そんな期待を込めて身を乗り出すわたし。