生きてる証
もう何度も来ているのに、なんだか照れくさくて私はいつもノックをしてから入る。

―――コンコン

「はーい」

愛しい彼の声。

「遥だけど、入るよー?」


―――ガラッ

病室は
大きな窓があって
夏の日射しが射し込んでいる。

白いベッドの上で本を読んでいた悠哉。


「ちょっと遥ー、まだ俺、良いよって言ってないんだけど?」

明らかに怒っているように見えない悠哉。

「だって、早く逢いたかったんだから。」

私は、悠哉の前では素直になれる。

「あはは、俺も。」


こんな恥ずかしいことも昔の私では無理だったと思う。

悠哉だから、自分に素直になりたいって思うようになったのだから。
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