ほどよい愛
「慎也くんがこっちに来てるって相模くんに聞いて待ってたのよ。例のホテルの件で週末現地に飛ぶんだけど、日曜の午前中打ち合わせに入ってくれないかなあ?」

「日曜ですか?」

「そう。急でわるいんだけどね。あ、まだこっちにいてるの?」

「いえ、明日の晩には一度札幌に行くんで。日曜大丈夫ですよ」

あっさりと言う慎也にホッとしたのか、今村さんは大きく息を吐いた。

「相模くんにも無理言って来てもらうのよね。せっかくの週末なのにみんなを振り回して申し訳ないわ。落ち着いたらおごるから飲みにでもいきましょ」

じゃ、と部屋を出て行こうとした今村さんは急に振り返ると、綺麗な笑顔を私に向け。

「仁科さんも、ごめんなさいね」

意味ありげに言って、足早に部屋を出て行った。
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