彼女の嘘と俺の嘘


 サキは以前教えた最初はあまり取らないこと、c-3、c-6、f-3、f-6の升を最終的に自分の石の色にすることをきっちり守って慎重に石を置いていく。


 おれも悩みながらゲームを展開させていかなければいけなかった。


 ゲームが後半になると四隅を取られ、盤面が次々と白く染まっていった。


 おれのどす黒かった顔が白くなった気がする。


「勝ったぁ~」

 サキは喜びを爆発させた。


 そのときのサキの笑顔は、一生おれの脳裏に焼きついて離れることはなかった。

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