先輩と私

2-7

「じゃあ、僕にも可能性ありますよね!?」
「………えっと、何の可能性ですか?」




「井上先輩と付き合う可能性です」





「先輩と、ですか?」
「はい。やっぱり変でしょうか」

そりゃ、先輩、モテるよね。私が、高校入学するまで、何人も彼女いたし。でも、今は、私のこと気に入ってくれてると思って油断してた。


「いえ、今まで、ライバルなんて居なかったから……。そうですよね。先輩かっこいいですもんね」


あ、どうしよう。泣きそう。先輩が他の人と付き合ってても、なんとも思わなかったのに。


「ホントに。特に剣道してる姿なんて………」
「…………」

出てくるな、涙。

「あの、それで、有森さんって先輩にお弁当作ってるじゃないですか。それ、僕がやっちゃダメですか?」
「えっ」

ちょっと待って。それは、数少ない私が先輩に出来ることの1つなのに。






ブー、ブー、ブー、ブー







「あ、すみません。携帯が……」








From井上 晃

弁当箱取りに来い

-END-











「すみません。用事できました」
「えっ」





私は、振り返らずに屋上の出入り口に駆け込んだ。
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