先輩と私

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「おー、やってるねえ。1年」

いきなり、男性の声が聞こえた。私の知っている声だ。
沙樹ちゃんを見ると、あからさまに嫌そうな顔になっていた。
私はドアの方を見た。そこに居たのは、私が予想した通り、先輩の友人だった。

「こんにちは。伸ちゃん先輩。お帰りですか?」
「そ。で、ちょっと気が向いたから、ここに来たわけ」


伸ちゃん先輩は先輩の友達。すっごくフレンドリーな人。


「用がないなら、帰ってくれませんか?須藤先輩」


そして、沙樹ちゃんの嫌いな先輩。でも、相性良いと思うんだよね。


「酷いな〜、相模は。もうちょっと真理ちゃんを見習って、先輩には優しくしなさい!」

「煩いですよ。先輩」

半泣きになっている伸ちゃん先輩。涙腺弱いな〜。


「あの、先輩、チョコでも食べます?」
「真理ちゃ〜ん、もう、俺に優しくしてくれるのは、真理ちゃんだけだよ」
「いや、そんなこと」


うーん、そんなことないよね?
泣きながら、抱きついて来る伸ちゃん先輩。小動物っぽいなあ。ちょっと可愛い。
沙樹ちゃんはというと、我関せずを決め込んだようで、パソコンから顔を逸らさない。
チョコのこと怒るかと思ったけど大丈夫そうだ。基本、優しいんだよね。


「それで、どうかしたんですか?」
「いや、ほんとに顔見に来たただけ」
「……………」


あー、沙樹ちゃんがものすごい顔で睨んで来る。
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