物の気持ち絵本(絵なし)短編集
時重郎が齢15になった秋

中年の夫婦が組合の前で涙ながらに叫んだ

「あなたのお母さんとお父さんだよ!生まれてすぐにあなたを鍋に入れて川に流したことを謝りたくて」

それを見た時重郎は少し動揺しましたが、冷静に考え

「私は確かに捨てられた!しかし私が生まれてすぐに捨てられたのだから今の私の姿を見てわかるはずがない」

そう言ってその夫婦を鬼に追っ払わせました

夫婦は追っ払われながらも

「その二つのほくろがなによりの証拠!私たちの顔を見てください!」

時重郎はちらっと夫婦を見ると顔には自分と同じ位置にほくろが…
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