ケイカ -桂花-
「じゃあ、誰かを好きになった事、は?」

強くなった風に前髪を押さえながら、私を真っ直ぐに見つめた。

その目の中に、宮崎の代名詞の母性本能をくすぐる、は少しも入ってない。

素の宮崎だった。

「桂は?」

「私は・・、宮崎が好きだよ」

「そう」

そのまま宮崎が何かを言う事はなかった。

私が勝手に勘違いしそうな事も、切り捨てるような事も、何も。

嘘はつかないんだもんね?

後で面倒になるから。
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