ケイカ -桂花-
「お友達ってミカちゃんの家?」

「ううん、ケイの家」

新聞を広げたオヤジの手が固まったのが分かった。

「ケイちゃん?ケイちゃんって前から仲良かった?お家はどの辺?」

さあ、何て言おうか。

本当の事を言ったらオヤジはどうする?

この前ここに来た愛人と一緒にいたって言ったら?

「うん、ケイはウチのクラスで一番頭良いんだ」

ハンバーグを一口放り込む。

「そうなの。じゃあ今度のテストは期待出来そうね」

お母さんの嬉しそうな笑顔に、オヤジの手が再び新聞をめくり始めた。

このくらいにしといてやるよ。

オヤジとは目を合わせずに席を立った。

「あらっ、またニンジン残してー」

お母さんのいつもの声が後ろから聞こえた。
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