ケイカ -桂花-
はぁぁぁ、落ち着くなー、いい匂い。

ケイと向かい合って座り、熱々のお茶をすすっていた。

お店の忙しさには波があり、今日みたいにヒマな時にはお茶を入れてくれる。

紅茶だったりコーヒーだったりケイの気分によって色々だったが、この甘い匂いのお茶は前に道に迷った日に飲んだ物と同じだ。

まだ1ヶ月も経ってないのに、ずいぶん前の事の様に感じる。

あの頃の自分は、学校以外の時間をどうやってつぶしていたのだろう。

全く思い出せない。

はぁぁぁ・・・、おいし。

「ハナ、おばあちゃんみたい」

「どこがよー?ケイより、ずぅぅぅっと若いし」

「なんか物思いにふけってた」

「べつにー」

「あ、ずっとじゃないよー、ちょっとでしょ?」

「はぁ?遅っ。その反応の遅さがオバサンの証拠」
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