Je t'aime?
私たちは、さっそく学校が買ってくれた楽器を準備室から持ってきて、ケースを開いた。
私がトランペットで、紗江子はフルート。
紗江子は、元気な性格からは想像つかないくらい、フルートを滑らかに吹く。
実は私は、フルートを演奏しているときの彼女を見るのが好きだったりして。
ふたりそろって椅子を窓際に持っていって、窓を開けた。
椅子に座ってトランペットのマウスピースをぶうぶうやっていると、窓から吹き込む風が前髪を揺らした。
「気持ちいい~」
気の向くままに下手なラッパを吹いて、風に吹かれているこの時間は至福のとき。
紗江子も隣りで気持ち良さそうに目を閉じていた。
するとそのとき―
「おっ早いじゃん!」
と、私たちのなごみタイムを打ち切る声がした。
振り向くと、すぐ後ろに立っていたのは、三人目にして最後の同好会仲間のガミくん。
と。
留学生。