Je t'aime?
あまりにびっくりして、マウスピースを落としそうになった。
「…え、なんで?!」
「ああ、ウジェーヌ?」
ガミくんが、サラリと言った。
「…うぅ…?」
「ウジェーヌ!さっき自己紹介してたろ?」
「…そうだけど」
言いにくいし、覚えにくい。
ウジェーヌくんは、ニコニコ顔でガミくんの後ろに立っている。
「俺がブラスバンドやってるって言ったら、見学したいって」
とガミくんはウジェーヌくんのほうを見ながら言った。
「へ…へぇ、そうなんだ」
なぜか顔が熱くなるのを感じて、私はまた窓の外に顔を向けた。
「めいわくですか?」
とウジェーヌくんが言った。
「全然!私、サエコ。よろしくね」
物怖じしない紗江子がうらやましい。
すっかり打ち解けて、握手なんてしちゃってる。
私も、挨拶しなきゃ!
「…あのっ」
タイミングを見て、振り向いた。
つもりだったのに。
ガミくんと紗江子とウジェーヌくんは、もう三人でピアノを囲んでいた…。