Je t'aime?
私たちは電車が来るまで、ホームのベンチに座って過ごした。
ふぅ、と息をついて汗を拭っている間も、ずっとセミが鳴いている。
そのとき、私は一瞬、変な空気を感じた。
ん?と思って左隣の紗江子を見る。
すると、私のほうを見ていた彼女がパッと目をそらした。
「なぁに?」
「ん?べつに、なんでもないけど…」
「なんでもあるって顔してるよ」
「いや、たいしたことじゃないんだけど…」
いちいち歯切れが悪い。
「どうしたの?」
「…怜奈は、いい彼氏がいていいなぁって思っただけ」
「…ん?」
突然、なにを言い出すのかと思えば…。