Je t'aime?
「だってさ、普通許してくれないよ?『あなたも彼も、どっちも好き』なんていう女のこと」
「…おっしゃるとおりです」
「しかも、それは恋じゃなくて憧れなんだよって諭してくれるなんて、最高だよね」
紅茶の店での一件を話して以来、紗江子の中での祐太の株が急上昇した。
いつも口癖のように、
「かっこいいけど、ロリ」
とか言っていたけど、それも言わなくなった。
「そのうえ、富士山楽しんでおいで、なんてなかなか言えないし。できた人間だわぁ」
「…ことごとく、おっしゃるとおりです」
「祐太さん、オトナだよね~」
と、感心しきりだ。
でも、たしかに紗江子の言うとおりだと思う。
私の彼氏が同い年だったら、
「意味わかんねー」
とか言われて、大喧嘩して、わんわん泣いて、結局は解決策なんて考えずに、別れただろう。