Je t'aime?
その博物館は、レストランから歩いて5分くらいだった。
それなのに、到着したときには私もウジェーヌも汗だく。
一日でいちばん気温が上がる時間だけに、太陽の照り付けかたは半端じゃなかった。
「は…早く…中に、入ろう…」
もはや、息も絶え絶えだ。
「レイナ、大丈夫?」
ウジェーヌが心配そうに私を見ている。
でも私は、半笑いで頷くしかできなかった。
ちょっと、気分が悪いみたい。
恥なんて捨てて、冷却ジェルをもらっておけばよかった…なんて今さら後悔している。
「座っていい?」
中に入ってソファを見つけたので、私はウジェーヌの返事を待たずに座った。
ウジェーヌも隣に座って、カバンの中からペットボトルの水を出してくれた。
私は遠慮なく、
「ありがとう」
と言って受け取ると、ガブガブ飲んだ。
もうとっくにぬるくなっていたけど、それでも体に水分が行き渡って、とてもおいしかった。