君色の空
「何言ってるのよ!」

早苗はおおげさに、一度だけ大きなため息をつくと、

「慎一くん言ってたよ?
『三船のことが、ほっとけない』『守ってやりたくなる』って」

「何それ!?」

「知らないよー!」

早苗はそう言って、笑いながら言葉を続ける。

「アタシには、そんな風に言ってくれる男の人なんていないからさ。

ナギが『うらやましい』って思ったよ?」

それから早苗は目を伏せて、今度は暗い声で、ひとりごとのように、つぶやいた。



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