15才でママになった理由(わけ)
9 距離

手紙

次の朝早く琢哉さんと琢磨が旅立って行く時、琢哉さんが私を抱き締めた。



「必ず迎えに来るから待っていてほしい。奈都、愛してるよ。」



もう、やだ。



琢哉さんはどれだけ私を泣かすつもりなの。



「琢哉さんのバカ。言わないでって言ったのに。今度会った時に言ってほしい。」



ごめん。ごめんと笑う。




なんで、琢哉さんは余裕があるの。



「今度迎えに来た時も又言うよ。何度でも言うから泣くな。」



泣かないって決めたのに、涙が止まらないよ。



もう一度、琢哉さんが抱き締めてくれた。



「いつまでそうしてるつもり、飛行機に間に合わないわよ。」



本当は飛行機に乗ってほしくないけど、新幹線より飛行機の方が早いからと決めたらしい。



お姉ちゃん、守ってね。



お姉ちゃん、琢哉さん好きになってごめんなさい。



お姉ちゃんの事はずっと忘れないから、私に焼きもち妬いていいからね。



「奈都、これ後から呼んでほしい。」



「手紙、私に。」



嬉しい。



「奈都が部屋を出て行ってから書いた。俺の今の素直な気持ちだ。」



琢哉さんがその手紙を手に握らせた。




ありがとう。




後でゆっくり読もうと思う。



この手紙は私の宝物になりそうだ。












< 242 / 320 >

この作品をシェア

pagetop