名前モモ、口癖ドブス、職業あたしの恋猫。
「お父さーんっ、お母さーんっ、タクーッ!あきちゃんっ、なっちゃん、友美ぃっっ」


次々と自分の声が消えていくだけのこの場所が怖くて仕方なくて、ガクガクとひどく震え始めた両手で口元を押さえつけた。


荒くなった息は温かいし、脈の乱れた心臓は苦しい。


ボロボロ流れ落ちる涙も、頬にできた小さなニキビも、治りかけていた口内炎も。


全部全部、変わらないのに。


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