FiFTEEN
その言葉に、何も言えない伊藤くん。



「違うよ、オレがのえるのギター借りて引いてた。」

伊藤くんの兄ちゃんが冷めた顔で言う。
母親は兄に顔を向けず、

「のえる受験勉強してるんだから邪魔だけはしないで。」

そういうと、自分の書斎へと行った。



「余計なことすんなよ…」

「ごめん、余計なことだった?顔焦ってたから…」

「うるさい…。おまえみたいにはなりたくない。」

自分の部屋へと戻ろうとする。

「のえる。…どんなに頑張っても実らないこともあるんだよ。…オレがそうだったから。


オレもおまえみたいに必死で勉強した。学校のイベントにも参加しなかったし、友達もつくらなかった。…それ以上に勉強を頑張った。…おまえよりも多分必死にね。でも、当日…頭真っ白になって書けるはずの問題も書けなかった。結果、落ちた。あんなに必死で勉強したのに。全部消えてなくなったんだ。……残ったのは、親の絶望な顔だけ。…オレには友達もいなかったから支えてくれるやつも一人もいなくてさ。ずっと一人だった。……





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