花言葉

悲嘆




時計の針は午後1時を指していた。

待ち合わせの時間からはすでに一時間が経過している。


純は、まだ来ていない。



何度かメールを入れてみたのだが、返事は来ない。


何かあったのではないか。
心配になった私は電話をすることにした。



「…なんで?出ないよ」



何度かけても同じだった。

純は電話に出なかった。


不安は徐々に大きくなり、冷や汗が首を伝った。


隣のベンチにいたカップルも今は居なくなり、周りには誰も居なかった。

その状況が自分の心を更に不安にさせている。



居ても立ってもいられなくなり、とりあえずベンチから立ち上がった。

落ち着こう。私はどうすればいいんだ。

探しには行かない方がいいのかもしれない。
すれ違いなんてことになったら厄介だ。



無言でもう一度ベンチに座り、頭を抱えた。
どうすればいいんだ、どうすれば…


しかし私の頭は軽くパニックを起こしていて、冷静に考えることは出来なかった。



そんな時、携帯が大音量で鳴り響いた。

電話だ。


自分でも驚く速さでバッグから携帯を取り出し、画面を開いた。



しかし、そこには純の名前ではなく純の親友である桜井優斗の名前が表示されていた。


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