切なさの距離~友達以上、恋人未満~
伝わらない想い【Takato】
「……………はぁ」
思わず溜め息をつく。
両手に持っていた冊子を投げ捨てた。
N高とY高
どっちにしようか…
資料を見比べてずっと考えていた。
練習設備だって、校舎だってY高のほうがいい。
けど、N高には増川たちがいる。
いや…正直言えば日向がいる。
だからN高をそんな簡単に捨てることはできない。
おもむろに携帯を手に取る。
やっぱり…アイツに言ってみようか。
俺は親指を動かしメールを作成する。
『今から会えないか』
送信ボタンを押そうとした指を止める。
やっぱり…やめておこうか。
いや…でも。
迷った末、送信ボタンを押す。
ダメだよな。
ウジウジ悩むなんて。