「REAL」―あるアイドルの告白―
ファンが、恐かった。

自分を応援してくれる、うれしい存在などではなく、

自分に執着し付け狙っている、ただの気もちの悪い存在にしか、思えなくなった。

こんな手紙を送ってくるひとが、何千何万もいて、テレビの中の自分をいつもそんな目で見てるんだろうかと考えたら、体の震えが止まらなくなるほどだった。

アイドルなんて、楽しいだけのものじゃない。

あたしは、その頃から、そんな風に思わずにはいられなくなっていった。
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