光を背負う、僕ら。―第1楽章―
だけど、それは何か違う気がする。



確かにある程度周りの人達の影響を受けたということには一理ある。



だけどもし、それ以前に自分でも気付かない間に、伸一を好きになっていたとしたら……?



それがあるとすれば、伸一君をカッコいい子だなぁと思ったあの時しかない。



あの時は幼かったから、それが恋だと気付けなかったという可能性が多いにある。



今のあたしだから思う。



あの時芽生えた伸一君への気持ち。



でもそれは、今まで心の片隅で眠っていた。



だけど今伸一君を好きな子がたくさん現われたことにより、闘争心のようなものでその気持ちが目覚めたんじゃないかな…。




あくまで、そんな感じがするだけなんだけどね。




それにしてもほんと、楽しいことが始まるといいな…。




あたしは再度伸一君を見て、そう思った。




この頃のあたしは、恋は楽しいことや幸せなことばかりなんだと思っていた。



でもそれが身の程知らずということを、あたしは身を持って知っていくことになる…。





小学五年生の日々は、刻々と着実に進んでいった。



夏に行われたキャンプも忘れられない思い出となり、クラスで過ごす時間をあたしは楽しんだ。





< 127 / 546 >

この作品をシェア

pagetop