光を背負う、僕ら。―第１楽章―
みんな疲れているのして、時々欠伸をする姿が見える。



体験入学ということもあって、最初は緊張の糸が張っていたはず。



しかし今は時間が経ってきた上に疲労まで溜まったせいで、そんな緊張感はどこかへ行ってしまった。



そのせいで、みんなが思い思いのことをやり出してしまう状況だった。



だけどそんな中でもやっぱりあたしは、緊張というか、緊迫した気持ちのままだった。



小春ちゃんが、今からピアノを弾く。



それはきっと、今からこの場に大きな衝撃を与えるはず……。



それが今から起こると思うと、気が落ち着かない。



今から自分がピアノを弾くわけじゃない。



だけどこんなにも自分の気持ちが落ち着かないのは、どうしてなの？




――あたしは、いつだって気付かずにいる。



自分の唯一のライバルとも言える小春ちゃんが前を歩いて行く度に、気持ちが焦っていることを。



そしてそれは、同じ才能を持つ者だから湧く感情であることを。





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