光を背負う、僕ら。―第1楽章―
他の人には、わからないんだ…。
あたしには、どうしてみんながあのピアノが普通のピアノとは違うことに気付けていないのかが不思議で仕方なかった。
こんなにもはっきりと、違いがわかるのに…。
あたしと小春ちゃんだけは、音の違いに気付いていた。
それは、ピアノに深く関わっているあたし達だからこそ、あの音の綺麗さがわかる――そういうことを意味していた。
だけどあたしも小春ちゃんも、あまりにもみんなが自分とは違うことを言うものだから、自分が間違っているのかと思い始めていた。
だから、気付くことが出来なかったんだ。
確実に自分達の中で、親顔負けの飛び抜けた才能が開花し始めていることを……。
「あなた、どの曲が弾きたいかしら?一応こっちで、いくつか楽譜を用意してみたんだけど。」
「そうですね…。」
小春ちゃんと滝川先生の会話は、周りの空気に飲み込まれずに着々と進んでいく。
この頃になると、小春ちゃんと違ってさっきからただ座ったままである他の人達に動きが見えてきた。
黙りこくっているのも暇になり、おしゃべりにふけっている人達もいる。
中には居眠りし出す人まで現れた。
あたしには、どうしてみんながあのピアノが普通のピアノとは違うことに気付けていないのかが不思議で仕方なかった。
こんなにもはっきりと、違いがわかるのに…。
あたしと小春ちゃんだけは、音の違いに気付いていた。
それは、ピアノに深く関わっているあたし達だからこそ、あの音の綺麗さがわかる――そういうことを意味していた。
だけどあたしも小春ちゃんも、あまりにもみんなが自分とは違うことを言うものだから、自分が間違っているのかと思い始めていた。
だから、気付くことが出来なかったんだ。
確実に自分達の中で、親顔負けの飛び抜けた才能が開花し始めていることを……。
「あなた、どの曲が弾きたいかしら?一応こっちで、いくつか楽譜を用意してみたんだけど。」
「そうですね…。」
小春ちゃんと滝川先生の会話は、周りの空気に飲み込まれずに着々と進んでいく。
この頃になると、小春ちゃんと違ってさっきからただ座ったままである他の人達に動きが見えてきた。
黙りこくっているのも暇になり、おしゃべりにふけっている人達もいる。
中には居眠りし出す人まで現れた。