光を背負う、僕ら。―第1楽章―



「君の意志は、あのピアノの演奏で十分分かったよ。
あの時の佐奈さんの瞳は、強い光を帯びていた。
詩織さんと同じで、前に突き進む意志を持っていたんだ」



「そんな風に、見えたんですね…」




自分では全く知ることが出来なかった事実を聞いて、少しだけど勇気が持てたような気がする。



お母さんの存在はまだまだ遠いけど、ほんの少しずつは近付けているのかな…。




「佐奈さんがこれから、どうやって歩いてくるのかが実に楽しみだよ。
ゆっくりでもいい。
でも、ちゃんとこの場所まで歩いておいで。
君が目指す場所を見失わないように、私はここで待っているから」




学園長は立ち上がり、手を差し出して握手を求めてきた。



あたしも立ち上がると、それを見失わないように大きな手に自分の手を重ねた。




「絶対もう一度、この学園に来てみせます。
自分の夢を叶えるために、自分の足で」



「あぁ、待っているよ」




あたしの手を包み込む温もりを、絶対に忘れないでおこう。



ここはいつまでも、あたしが目指す頂点なのだから。



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