あなたのペット的生活
すると乃亜はほとんど泣いてるんじゃねーかと思うほど、目が濡れていた。
「……ったく!なにすんだよ!!」
「バカバカバカ!孝ちゃんなんて大馬鹿野郎だ!!」
なんだと?
誰のためにリバースを食い止めてると思ってんだ。
なんなら、ここで吐いてやってもいいんだぞ?
「お前、俺に向かっていい度胸だな」
身近に投げるものもなく、
戦意喪失したのか乃亜はそのまま床に座り込んだ。
そんな乃亜に一歩一歩ゆっくり近付く。
真相を聞くためだ。
もし、一夜の関係を持ったのなら、何かあった場合、責任は……とる。
一瞬、間があいたのは気にしないでくれ。
俺だって男だ。
覚悟を決めよう。
「っく、ひっく……」
が、聞こえてきた嗚咽に一瞬ひるむ。
「おい、乃亜?」
乃亜が本格的に泣き出した。
どうしよう。
実は、俺は乃亜が泣いてる姿を見るのが苦手だ。
すごくいたたまれなくなる。
乃亜でなくても、泣いてる人を見ると胸がキュっとつままれたように悲しくなる。
だけど乃亜の泣いてる姿をみると、他の人よりも何倍にも悲しくなるから苦手なんだ。