あなたのペット的生活


すると乃亜はほとんど泣いてるんじゃねーかと思うほど、目が濡れていた。

「……ったく!なにすんだよ!!」
「バカバカバカ!孝ちゃんなんて大馬鹿野郎だ!!」

なんだと?
誰のためにリバースを食い止めてると思ってんだ。
なんなら、ここで吐いてやってもいいんだぞ?

「お前、俺に向かっていい度胸だな」

身近に投げるものもなく、
戦意喪失したのか乃亜はそのまま床に座り込んだ。
そんな乃亜に一歩一歩ゆっくり近付く。



真相を聞くためだ。


もし、一夜の関係を持ったのなら、何かあった場合、責任は……とる。



一瞬、間があいたのは気にしないでくれ。


俺だって男だ。


覚悟を決めよう。





「っく、ひっく……」


が、聞こえてきた嗚咽に一瞬ひるむ。



「おい、乃亜?」

乃亜が本格的に泣き出した。


どうしよう。


実は、俺は乃亜が泣いてる姿を見るのが苦手だ。



すごくいたたまれなくなる。


乃亜でなくても、泣いてる人を見ると胸がキュっとつままれたように悲しくなる。


だけど乃亜の泣いてる姿をみると、他の人よりも何倍にも悲しくなるから苦手なんだ。




< 213 / 422 >

この作品をシェア

pagetop