あなたのペット的生活
気づいてよ、孝ちゃん。
私には孝ちゃんしかいないように、孝ちゃんだって私しかいないんだよ。
絶対に、ね。
「ほら、いつまで笑ってんだ。行くぞ」
せかせかと歩き出す孝ちゃんに、松葉杖をついてゆっくり歩く私。
ちょっと進んでは振り返り、私が追いつくとまた進む。
そんな孝ちゃんの後を着いていくと、たどり着いたのは孝ちゃんの家の脇、自転車の前だった。
「ほら、乗れ」
「送ってくれるって、自転車で?」
「当たり前だろ?俺、車の免許取り立てのペーパードライバーだぞ?んなもん危なっかしくてお前なんかのせらんねぇっての」
まぁ、また入院したいってなら別だけどなっと孝ちゃんはいつものように意地悪く笑うといきなり私の両脇を下から抱えると自転車の後ろに座らせた。