あなたのペット的生活
「乃亜ちゃんの彼氏はどんな子なの?」
「彼氏?」
彼氏って誰の話だろう。
「そう。この前乃亜ちゃんの家で見かけた、爽やかそうな高校生いたじゃない。乃亜ちゃんの彼氏じゃないの?」
「まっさか!!ない!それはない!!」
って、こんな言い方佐助に失礼だけど、でも私が好きなのは一生をかけても孝ちゃんだけだもん。
「あら?そうなの??やだわぁ〜!おばさん、てっきり彼氏だと思っちゃって……」
とまたまた豪快に笑うとおばさんは最後に帯を締め、肩をポンっと叩いた。
「出来上がり♪あらぁ〜、乃亜ちゃんよく似合ってるわぁ〜」
全身鏡で見てみると、そこには自分じゃない自分がいた。
「髪の毛もしてあげるわねぇ〜♪」
おばさんは後ろから楽しげに髪を結っていく。
どんどん、いつもの自分からかけ離れていく。
孝ちゃんはこんな私をどう思うんだろう。
日が暮れだすと比例して、私の心は膨らんでいくばかりだった。