あなたのペット的生活


「さってと、じゃあ行くか」


孝ちゃんはゆったりと立ち上がると、靴を履きだした。



「ど、どこ行くの?」

「内緒」



そう言うとスタスタと歩き出した。




「孝二?!どこ行くんだい?!」


歩き出す後姿におばさんが慌てて声をかける。


孝ちゃんはやっぱりしれっと顔で
「すぐ帰っから、晩飯用意しといて」
って言うと、また歩きだした。



その返事でおばさんは安心したようにホッと息を吐いた。



「待って!孝ちゃん、私も行くから」


慌てて靴を履いて孝ちゃんの後ろ姿を追いかける。


孝ちゃんに会ったら言いたいことたくさんあったのに、いざ目の前にすると何を話そうとしていたのかわからなくなった。


孝ちゃん、私、大人っぽくなったと思わない?


髪だって軽く巻いてみたし、軽く、お化粧もしてみた。



どう?


孝ちゃん、私、変わったでしょ?


いい女とはまだ言いきれないけど、昔に比べたら考え方だって大人になったと思んだ。



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